歯周病は全身にも悪影響!歯周病とからだの病気について


口というのは消化器官の最前端の部分を担います。
歯周病菌の感染により口腔内が慢性的に炎症を起こしていると、さまざまな全身疾患を引き起こすことが近年の研究でわかってきています。


糖尿病

歯周病と関連する全身疾患で代表的なものは、糖尿病です。

糖尿病と歯周病は相互関係にあると言われ、糖尿病があると歯周病にかかりやすく、歯周病があると糖尿病も悪化します。

詳しくは以下のページに掲載しています。


がん

歯周病による慢性的な炎症の刺激により、正常細胞に異常をきたし発ガンに結びにつくと言われています。


心臓病(心内膜炎・動脈硬化・狭心症・心筋梗塞)

歯周病菌は歯肉の毛細血管を介して血流に浸入します。

重症化するほど血管中に浸入する歯周病菌は多くなると言われ、動脈硬化をおこしている血管に付着した歯周病菌は、血管を狭める作用を促進し心臓病(狭心症・心筋梗塞)を引き起こすと考えられています。

また心臓の内膜に歯周病菌が付着すると感染性心内膜炎を発症することもあり、基礎疾患がある方は注意が必要です。


脳梗塞

歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。


認知症

歯周病予防によって動脈硬化のリスクを減らすことは、血管性の認知症のリスクを減少することに繋がります。

また、歯周病で歯を失うと咀嚼による脳への刺激が減少しアルツハイマー型認知症になりやすいとも考えられます。


メタボリックシンドローム(肥満)

「なんでも美味しく噛んで食べる」ためには20本以上の歯が必要と言われています。

よく噛むことが肥満を防ぐことがわかってきており、噛むことで食欲を抑えエネルギーを消費させる神経ヒスタミンという脳内物質が活性化します。


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物と共に細菌が誤って気管や肺に入り込むことで発症する肺炎です。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のコントロールが重要になります。



女性のからだと歯周病

低体重児早産

妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、喫煙・飲酒・高齢出産によるリスクよりもはるかに高い数字になります。

妊娠性歯肉炎

女性ホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になると言われており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。

骨粗しょう症

閉経後骨粗しょう症は、卵巣機能の低下により骨代謝に関わるホルモンのエストロゲン分泌の低下により発症します。エストロゲンの分泌が少なくなると、歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内では炎症を引き起こす物質が作られ、歯周病の進行が加速されると考えられています。





参考:8020推進財団「からだの健康は歯と歯ぐきから」、日本臨床歯周病学会HP





80歳で20本の歯を正しく残して、なんでも食べられる生活を

歯を失うのは、加齢変化ではなく、歯科疾患が原因です。日本は歯を大切にする文化が根付いているとは言い難く、知らない間に歯科疾患が進行し、抜歯に至っているケースが非常に多いため、それを加齢にすり替えて誤解されているのが問題だと感じています。歯を大切にする文化が根付いている国は、8020達成率が非常に高く、同時に生活の質(QOL)も高いといえます。日本の患者様に気づいていただきたい内容を記していきます。