【新型コロナ流行】ウイルス感染症とお口の健康

新型コロナウイルスが流行している昨今、患者の皆様も日々感染対策に努めておられると思います。

歯科治療や歯科衛生士によるプロケアを通して、インフルエンザなどウイルス感染症の発症や重篤化が防げることがわかってきており、新型コロナウイルス感染症にも効果があるのでは、と言われ始めています。


日々のコロナ対策に、歯科衛生士による「プロケア」を加えてみませんか?



インフルエンザとの関連

むし歯や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)には、気管支炎や肺炎などの発症や重症化にかかわる肺炎球菌や、重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌などの細菌も含まれています。

(☝プラークの電子顕微鏡写真)


これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれるたんぱく質分解酵素を出し、インフルエンザウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性をもっています。

(☝一般社団法人日本歯科医学会連合HP「新型コロナウイルス感染症について」より)


虫歯や歯周病を放置したり、お口のケアが不足しているとプロテアーゼの量が増え、インフルエンザの発症や重症化を招きやすくなります。


歯科衛生士のプロケアでインフル発症が1/10に

2つの特別養護老人ホームでのデータです。

①Aのデイケアに通う65歳以上の高齢者98人に対し、歯科衛生士による口腔ケアと歯磨き指導を1週間に1回実施

②Bのデイケアに通う高齢者92人は(介護者もしくは)自分での口腔ケアのみ


①の歯科衛生士による口腔ケアを実施したグループでは、②に比べ口腔内の細菌数が減り、プロテアーゼのはたらきが低下していることがわかりました。

さらに、インフルエンザを発症した人は、②の自分でのケアをしていたグループでは92人中9人(約10%)であったのに対し、①の歯科衛生士による口腔ケアを実施したグループでは98人中1人(約1%)と、1/10に発症を抑えることができました。

新型コロナウイルス感染症との関連

●歯科衛生士によるプロケアで、インフルエンザ予防と同様の効果が期待できる

●歯周病は糖尿病など全身疾患と密接に関係⇒基礎疾患によるコロナ重篤化を防ぐ

●口腔ケアで口腔内の細菌数を減らすことで、IgA抗体の働き促し免疫力アップ

●歯周病菌の出す毒素による臓器の慢性炎症⇒新型コロナ感染時のサイトカインストーム(免疫暴走)のリスク回避


歯科と新型コロナウイルス感染症との関連はまだ研究途中の段階ですが、上記の効果が期待できるのでは、と言われ始めています。


(☝日本歯科医師会HP参考)



さいごに

新型コロナウイルス流行にともない、患者様の治療やメンテナンスなどの歯科受診控えがみられます。

慢性疾患の多い歯科疾患はたしかに「不急の治療」は少なくありませんが、だからとって「不要な治療」は一つもありません。

むし歯も歯周病も自然治癒しない病気ですので、着々と進行してしまいます。

「コロナが落ち着いてから…」と先延ばしにしている治療やメンテナンスを徐々に再開していきませんか?

歯科医院では日々の滅菌消毒作業はコロナ流行以前から徹底されています。

安心してご来院いただければと思います。



☟日本歯科医師会HP

歯科から発信する新型コロナウイルスについての情報が掲載されています

日本歯科医師会

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歯を失うのは、加齢変化ではなく、歯科疾患が原因です。日本は歯を大切にする文化が根付いているとは言い難く、知らない間に歯科疾患が進行し、抜歯に至っているケースが非常に多いため、それを加齢にすり替えて誤解されているのが問題だと感じています。歯を大切にする文化が根付いている国は、8020達成率が非常に高く、同時に生活の質(QOL)も高いといえます。日本の患者様に気づいていただきたい内容を記していきます。